****

私たちの研究室では、「生命の時間」に興味を持って研究を進めています。生命は、驚くべき「時の設計図」を備えています。受精から始まり、体が形成されるまでの過程である胚発生は極めて厳密なスケジュールに基づいて進行します。この「時間」の管理は、遺伝子に組み込まれた時計機構によって調整されていると考えられますが、その具体的な分子メカニズムについては、ほとんど解明されていません。 ターコイズキリフィッシュ(N. furzeri)はアフリカ原産の卵生メダカで、雨季のみに出現する池に生息します。そのため、乾季の間は生きたままの状態で胚発生を停止し、長期間にわたって休眠状態になります。私たちは、時計が止まった状態においても悠々と生きるターコイズキリフィッシュの休眠現象に着目することで、胚の時間を制御する分子機構を見つけ出し、その機構を他の生物にも応用することで、未知の「時の設計図」の分子実態を明らかにすることを目指します。